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  • はじめに|このブログについて

    はじめに|このブログについて

    家づくりで本当に怖いのは知らないまま進んでしまうことです。
    建築会社は、それぞれの立場で家づくりに向き合っています。
    ただ、立場と役割の違いという「仕組み」を知らないまま進むと思わぬ行き違いが生まれることがあります。

    私は、住宅建築の現場に50年立ち続けてきました。
    その中で多く見てきたのは、知識不足ではなく「仕組みを知らなかった」ことによる後悔です。

    このブログでは、住宅づくりの建築会社選びで外してはいけない本質を、一つずつ整理しています。

    まずは第1回からお読みください。
    すべては、そこから始まります。

    ▶ 第1回は、こちらから:次のURLをクリック
    第1回https://iiiedukuri.com/%e5%bb%ba%e7%af%89%e4%bc%9a%e7%a4%be%e9%81%b8%e3%81%b3%e3%81%a7%e7%b5%b6%e5%af%be%e3%81%ab%e3%82%84%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%af%e3%81%84%e3%81%91%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%93%e3%81%a8%e2%80%95-50/

  • 建築会社選びで絶対にやってはいけないこと― 50年の現場経験から見えた、たった一つの本質 第2回

    建築会社選びで絶対にやってはいけないこと― 50年の現場経験から見えた、たった一つの本質 第2回

    【第2群】結果として現れる「住んでからの違和感」「住み心地の違和感は施主の判断ミスの結果」が要因

    前回までは、価格や契約でつまずく理由をお伝えしました。では、そのまま進んだ家づくりは、完成後どうなるのでしょうか。ここからは「住んでから出てくる違和感」について見ていきます。

    第4回 寒さ・暑さ ― なぜ「住んでからの違和感」は必ず起きるのか

    家づくりを考え始めたとき「この家は冬でも暖かいか」「夏は暑くないか」といった印象で、建築会社を選ぼうとする人は少なくありません。それは、分かりやすい目安に見えます。

    しかし、実際には、その選び方が、住み始めてからの「寒い」「暑い」といった不満につながることがあります。

    「暖かい家」と聞いて選んだのに、なぜ寒く感じるのか。
    欠陥ではないのに、なぜ不満が残るのか。本書では、寒さ・暑さを例に、どのような選び方が、あとからの違和感につながるのかを順に説明します。

    4.寒さの感じ方は地域と生活習慣で違う

    新築住宅に入居したあとで、施主からよく聞く声のひとつに「冬の室内が、思っていたより寒い」というものがあります。

    しかし、この訴えは必ずしも欠陥や性能不足を意味するものではありません。多くの場合、その原因は地域性と生活習慣による体感温度の違いにあります。

    この問題が特に顕著に表れるのが、北海道などの降雪地域です。冬の外気温がマイナス10℃以下になることも珍しくない地域では、長年の生活習慣として、室内温度を25℃前後まで上げ、冬でも半袖で過ごすという暮らし方をしてきた方も少なくありません。

    一方、現在の新築住宅で多く採用されている暖房計画は、主にセントラルヒーティングやエアコン暖房です。

    高断熱・高気密住宅を前提とした全室暖房が主流で、理論上の快適温度は18℃〜22℃程度とされています。

    近年の住宅は断熱・気密性能が大きく向上しており、床付近と天井付近の温度差も2℃程度に抑えられるため、数値上・理論上は「快適な住宅」と評価されます。

    しかし、長年25℃以上の室温で冬を過ごしてきた人達にとっては、この理論上の快適温度が、どうしても「寒い」と感じられてしまうのです。

    建築会社としても、暖房計画の基本は全室暖房であり、必要以上に設定温度を上げることは、24時間換気による熱損失やランニングコストの増大につながるため、慎重な設計にならざるを得ません。

    その結果、「住宅の性能は良いはずなのに寒く感じる」という、施主側との認識のズレが生じやすくなります。

    また、実際の寒さの要因としては、床断熱の施工不良による床の冷たさ、窓から冷気が下降するコールドドラフト現象、ローコスト住宅に見られる断熱・気密計画の粗悪さなども考えられます。

    対策として全室床暖房を採用する例もありますが、この床暖房だけでは窓ガラス付近の冷気対策が不十分になりやすく、逆にセントラルヒーティングの壁パネルのみの暖房では、床断熱の施工精度や仕上げ材によって、足元の寒さが残るケースもあります。

    私の経験上、降雪地域ではセントラルヒーティングの壁パネルに加え、リビングなど一部に床暖房を併用する方式や冷暖房エアコンを利用するが、比較的バランスの取れた暖房計画のひとつだと感じています。

    ただし、こたつや小型ストーブで何十年も冬を過ごしてきた方であれば、現在の一般的な暖房計画でも十分に満足される場合もあります。

    つまり、寒さの感じ方は断熱性能や設備仕様だけで決まるものではなく、最終的には人それぞれの体感と生活習慣に大きく左右されるのです。

    さらに、大手ハウスメーカーなどでは、暖房設計の責任者が東北以南で長年暮らしてきたケースも多く、冬の室内が多少寒くても違和感を覚えにくい生活感覚を持っていることがあるようです。

    そのため、北海道のように、厳しい外気環境から戻った際に、室内温度が25℃以上でなければ、体がなかなか温まらないという感覚や、冬でも半袖で過ごしたいという生活習慣が、設計段階で十分に想像されていない場合もあるのです。

    この感覚の違いは、関東以南の真夏に、外気温35℃〜40℃の中から冷房の効いた室内に入った際、18℃程度まで室内が冷えていないと体がすぐに涼しくならないと感じる状況と、よく似ています。

    季節は違っても、人の体が長年の環境に慣れてしまうという点では同じ現象だと言えるでしょう。

    現実問題として、施主から特別な要望がなければ、暖房計画はコスト重視の標準仕様に落ち着いてしまう傾向があることも否定できません。

    この問題は欠陥でも間違いでもなく、地域性・生活習慣・設計思想の感覚のズレから生じる認識の差なのです。

    北海道などの降雪地域で住宅を建てる施主には、この現実を事前に理解したうえで、自分たちがどのような冬の暮らしを望むのかを具体的に整理し、暖房計画として建築会社に明確に伝えることが重要だと私は考えています。

    そして、その要望を「聞いたかどうか」ではなく、「設計としてどう具体化するか」を説明できるかどうかが、建築会社の力量差として現れます。

    【第3群】なぜそんな家が建つのか(仕組み的原因)

    第5回 建築会社の知識・技術力の差は、想像以上に大きい

    家づくりを考え始めたとき、

    「断熱の数字は十分か」「暖房設備はそろっているか」といった説明をもとに、家の快適さや会社の良し悪しを決めようとする人は少なくありません。それは、分かりやすい目安に見えます。

    しかし実際には、数字や設備が同じでも、住み心地に大きな差が出ることがあります。

    前回お伝えしたように「冬が思ったより寒い」「説明と体感がちがう」と感じる原因は、数字そのものではありません。

    その土地の気候をどう考えたか。その家族の暮らし方をどう考えたか。それを設計にどう生かしたか。

    この違いが、住み始めてからの差になります。なぜその差が生まれるのか。

    本書では、建築会社ごとの知識と技術のちがいについて、順に説明します。

    5. 建築会社の知識・技術力の差は想像以上に大きい 

    私は住宅づくりに関わって50年以上になります。その中で私が強く感じているのは、完成後の見た目や設備の違い以上に、建築会社ごとの知識・技術力の差は想像以上に大きいという現実です。

    そして、この差は、一般の施主が打ち合わせ段階で見抜くことが、非常に難しいところにあります。図面も説明も、一見すると整っており、「普通の家」「問題なさそうな建築会社」に見えるからです。

    しかし、実際に住宅トラブルや欠陥住宅の相談に関わってきた経験から言えば、多くの問題は、意図的な手抜きや悪意よりも、建築会社自体の知識不足や判断力の欠如から生じています。

    これまで、

    ・社内に建築の有資格者がいない

    ・営業経験しかない人物が経営判断を行っている

    ・技術的な是非を現場任せにしている

    といった体制の建築会社が関わった住宅トラブルに、施主側の立場で数多く関与してきました。

    弁護士と共に、建築会社の担当者や経営者と向き合う中で、私が繰り返し耳にしてきた言葉があります。

    「手を抜いたつもりはありませんでした」「これで問題ないと思っていました」これらを冷静に突き詰めていくと、多くのケースで、最新の法規や基準を十分に理解していない、施工上のリスクを予測できていない

    そもそも、判断材料となる基本的な建築知識が不足しているという状況が見えてきます。

    結果として、欠陥住宅になってしまう。これは珍しい話ではありません。

    「許可がある=安心」ではない現実

    現在の制度では、建設業の許可を取得すること自体は、決して高いハードルではありません。中には、建設業の許可を持たないまま工事を請け負っている業者も存在します。

    しかし施主にとって、

    ・誰が技術的な最終判断をしているのか

    ・設計、施工、法規を良く理解して指導できる人材がいるのか

    こうした点を見極めることは、非常に困難です。

    表向きは「普通の建築会社」に見えても、中身の知識量や技術力には、現状はっきりとした差があります。

    同じミスを繰り返す会社の多くは、弁護士が介入し、施工ミスや不備を認めさせたケースでも、建築会社の側から「根本的に間違っていた」などという反省の言葉を聞くことは、ほとんどありません。

    中には、改修費用が大きくなると会社を畳み、別の場所で新たに会社を立ち上げ、何事もなかったかのように営業を続けている例もありました。これは特別な話ではなく、住宅業界の構造として起こり得てしまう現実です。

    本書が伝えたい現実

    私の実感として、建築会社の知識・技術力の差は、「小学校レベル」から「一流大学卒業レベル」まであると言っても、決して大げさではありません。

    この差は、価格、会社の規模、知名度だけでは判断できないものです。

    だからこそ、有名だから安心大きな会社だから大丈夫、担当者の感じが良いから信用できる、こうした判断軸だけで契約してしまうことが、家づくりで最も取り返しのつかないミスになり得ます。

    本書では、質問を通して、建築会社の考え方と、技術的な裏付けを見極めるという視点を、これからも重視していきます。

    第6回 照明計画は「おしゃれ」と「明るさ」は別問題 ― 図面では分からない失敗例

    家づくりを考え始めたとき、

    「見た目がおしゃれかどうか」「モデルハウスが明るく見えたかどうか」で、照明を決めてしまう人は少なくありません。それは、分かりやすい決め方に見えます。

    しかし実際には見た目が良くても、住み始めてから「暗い」「まぶしい」「使いにくい」と感じることがあります。

    図面やカタログの上では問題がないように見えても、家具の置き方や家族それぞれの生活の動き方まで良く考えていないと不便が残ります。

    なぜこのようなことが起きるのか。どこを確認しておけば防げるのか。

    本書では、照明計画で起きやすい失敗を例に、順に説明します。

    6. 照明計画は「おしゃれ」と「明るさ」は別問題

    近年の住宅では、室内照明のLED化が進み、ダウンライトや間接照明といった、壁や天井に埋め込むタイプの照明器具を用いた、「見た目のデザイン性」を重視する照明計画が主流になっています。

    これらの照明器具は、施主が後から自分で簡単に交換できるものではなく、多くの場合、建築工事の一部として建築会社が設置します。その結果、入居後に思わぬ不満やクレームが生じるケースが増えています。

    その代表的な声が、

    「夜になると、思っていたより室内が暗い」

    「おしゃれなホテルのようだが、本が読めない」

    「新聞や書類を見るには明るさが足りない」

    といったものです。

    かつての照明器具には「60W」「100W」といった表示があり、一般の方でも、その表記を見れば、ある程度の明るさを感覚的に理解できました。

    しかし現在のLED照明では「60W相当」「100W相当」といった表記に変わり、実際の明るさが想像しにくくなっています。

    さらに、LED照明は器具の形状や配光(光の広がり方)、色温度によって、同じ「〇〇W相当」と書かれていても、体感する明るさが大きく異なります。そのため、数値上は十分でも、生活の中では「暗い」と感じてしまうことが少なくありません。

    問題は、こうした不満が入居後に発覚しても、「施主が選んだ照明器具を工事として設置したものなので、交換には追加費用がかかる」と説明され簡単には変更や交換ができない点です。

    結果として、多額の追加工事費を嫌って、泣き寝入りする施主も少なくありません。

    この照明の問題は、構造や性能の欠陥のように表面化しにくく、比較的「影に隠れたクレーム」として見過ごされがちですが、日々の暮らしの快適性には大きく影響する重要なポイントです。

    照明計画で特に注意すべきなのは、

    「おしゃれ」と「明るさ」は、必ずしも両立しないという事実です。

    モデルルームや施工写真で見た雰囲気が良くても、それが自分たちの日常生活に十分な明るさを提供してくれるとは限りません。

    そのため、照明計画では

    ・どの部屋で

    ・どの時間帯に

    ・どんな作業をするのか

    を具体的に想定し、「雰囲気」だけでなく「実用性」を基準に考えることが重要です。

    建築会社に任せきりにするのではなく、「この明るさで、本や新聞は問題なく読めますか」、「夜に家事や作業をするには十分ですか」といった生活目線の確認を、設計段階で必ず行うべきだと、私は考えています。

    そして、この「生活を想像した説明ができるかどうか」は、照明に限らず、建築会社の知識量や設計力の差が最も分かりやすく表れる部分でもあります。

    第7回 住み心地の不満は、なぜ完成後に噴き出すのか ― 判断ミスと設計・施工の因果関係

    家づくりでは、住み始めてから「冬が思ったより寒い」「夜になるとなぜか暗い」「説明と体で感じることが違う」といった不満が出ることがあります。

    しかし、これらはたまたま起きた失敗ではありません。

    多くの場合、契約前や設計の段階で決めたことが、どのように図面や工事に生かされたかによって起きています。

    本書では、これまで取り上げてきた寒さや照明の例をふり返りながら、なぜ住み始めてから不満が出やすいのかを順に説明します。

    7.住み心地の不満は、なぜ完成後に噴き出すのか ― 判断ミスと設計・施工の因果関係

    完成した家に住み始めてから感じる違和感には、ある共通点があります。

    それは、「説明は受けていた」「数値上は問題ない」「契約時は納得していた」という状態であるにもかかわらず、不満が生じているという点です。

    前回までに取り上げた

    ・冬が思ったより寒い

    ・夜になると室内が暗い

    といった声も、その典型例です。

    これらの不満は、断熱性能や照明器具の性能が“足りなかった”から起きているわけではありません。

    多くの場合、住み心地の不満は、施主が契約前に行った「説明をどう受け取ったかという判断」と建築会社が行った設計・施工の考え方が、噛み合わないまま進んでしまった結果として表れています。

    施主が契約前に行っているのは「この家は暖かそうか」「明るくて暮らしやすそうか」といった営業説明や言葉の印象をもとにした判断です。

    一方で、設計や施工を行う建築会社は、

    ・標準仕様

    ・コストバランス

    ・一般的な暮らし方の想定など

    といった、設計上の基準をもとに家づくりを進めています。

    ここで、施主の生活習慣や体感が「どの部屋で、どの時間帯に、何をするのか」という具体的な設計条件として整理されていなければ、設計内容は自然と「多くの人にとって無難な暮らし方」を前提としたものになります。

    その結果「説明どおりの仕様の家」ではあるが、「自分たちの暮らしに合った家」ではないというズレが生じます。このズレによる寒さや暗さへの不満は、施工ミスとは異なり、法的に問題にならないことがほとんどです。

    なぜなら、断熱性能や照度などの数値上の基準は満たしているケースが多いからです。

    しかし、

    ・どの地域で暮らしてきたのか

    ・どのような生活習慣を持っているのか

    ・家の中で何を重視して過ごしたいのか

    といった前提が、設計に反映されていなければ、住み心地に違和感が出るのは自然な結果です。

    これは施工の良し悪しではなく、契約前に施主が受け取った説明の理解と、設計の進め方が一致していなかったことによって生じる必然だと言えます。

    この種の問題が厄介なのは、

    ・図面では分かりにくい

    ・モデルルームでは判断できない

    ・完成前に体感できない

    という点にあります。

    さらに、入居後に気づいたとしても、「仕様どおりです」「変更するなら追加工事になります」という説明で終わってしまうケースも少なくありません。

    つまり、完成後に噴き出す住み心地の不満の多くは、契約前にしか防げない問題なのです。

    整理すると、原因は一つです。それは、施主の暮らし方や感覚が、設計条件として十分に反映・整理されないまま家づくりが進んでしまうことです。

    寒さも、照明も、設備も、「良い・悪い」ではなく、施主家族の暮らし方の要望に「合っているか・合っていないか」の問題です。

    そして重要なのは、施主の要望や生活の前提が、設計の条件としてきちんと共有・反映される仕組みがあるかどうかです。この点が曖昧なまま進めば、完成後の満足度は大きく左右されてしまいます。

  • 建築会社選びで絶対にやってはいけないこと― 50年の現場経験から見えた、たった一つの本質 第1回

    建築会社選びで絶対にやってはいけないこと― 50年の現場経験から見えた、たった一つの本質 第1回

    【第1群】判断軸を間違える入口(価格・契約)

    家づくりを考え始めたとき、多くの人は坪単価を基準に建築会社を選ぼうとします。

    それは一見、合理的で失敗のない選び方のように見えます。

    しかし、実際には坪単価を基準にした選び方が、後悔の入口になってしまうケースも少なくありません。

    なぜなら、坪単価は「比較の道具」ではあっても「答え」そのものではないからです。

    では、どこで思い違いが起きるのか。そして、何を基準に考えるべきなのか。

    本書では、その理由と背景を具体的にお伝えします。

    第1回 坪単価は「比較の道具」であって「答え」ではない

    家づくりを考え始めたとき、多くの人は坪単価を基準に、建築会社を選ぼうとします。

    それは一見、合理的で失敗のない判断のように思えるかもしれません。しかし、実際の住宅づくりの現場では、その判断が後悔の入口になっているケースも少なくありません。

    私は大工として現場に立ち、一級建築士として35年以上、住宅づくりに携わってきました。その中で、施主が「その時点では正しいと思っていた判断」によって、完成後に苦しむ姿を何度も見てきました。

    なぜ、その判断は危険なのか。そして、施主は何を基準に考え直すべきなのか。本稿では、その現実を具体的にお伝えします。

    1.坪単価は「比較の道具」であって「答え」ではない

    建築会社選びで「坪単価」だけで比較してはいけない理由があります。

    住宅の建築費は、今でも「坪単価 × 延床面積(坪)」でおおまかな総工事費を考える慣習が残っているからです。

    この「坪(つぼ)」とは日本の伝統的な面積単位で、1坪は約3.3㎡(畳2枚分)です。

    坪単価は、一見すると「会社ごとの価格差が分かりやすい指標」のように見えます。

    しかし、本書では建築会社選びの判断材料として、同一条件ではない坪単価比較は不適切だと位置づけます。

    なぜ坪単価は判断材料にならないのか

    理由は大きく3つあります。

    ① 含まれている工事範囲と仕様が会社ごとに違う

    坪単価は、多くの場合「建物本体価格のみ」を指します。

    外構工事、地盤改良、給排水や電気の引き込み工事、各種申請費用などが、含まれているかどうかは、会社ごとに条件が異なります。

    ② 前提条件がそろわない

    同じ延床面積でも、間取り、構造、断熱・耐震性能、標準仕様などが違えば、工事費は大きく変わります。

    同条件でない以上、坪単価を並べても比較にはなりません。

    ③ 性能とコストの関係が見えなくなる

    坪単価だけを見ると「安い=良い会社」「高い=ぼったくり」という誤った判断につながりやすくなります。

    本来確認すべき、なぜその金額になるのかという比較条件が抜け落ちています。

    本書が推奨する考え方

    建築会社を比較する際は、土地が決まり、間取りと仕様の方向性がある程度固まった段階で、出来る限り同条件で各社の標準的な工事内容を前提に建物本体のみの概算見積を出してもらう。

    この状態で初めて「その会社の考える標準的な家づくりの価格感」が見えてきます。

    そのうえで算出される坪単価は、優劣を決める数字ではなく、その会社の考え方を知るための参考値として扱うべきものです。

    建築会社に確認すべき質問

    「この金額には、どこまでの工事内容が含まれていますか。

    また、それを標準仕様としている理由を教えてください。」この質問に対し数字ではなく価格判断の筋道を説明できるかどうか。

    それが比較すべきポイントです。

    ※ この記事は「住宅価格の知識」を教えるためのものではありません。誤った判断軸を手放すための視点として位置づけています。

    第2回 高額なお金を最初に取る会社は、なぜ要注意なのか(設計着手金・内金・預かり金という営業手法)

    家づくりを考え始めたとき、設計着手金や内金の有無を基準に、建築会社を選ぼうとする人は少なくありません。

    「お金を払えば本気で動いてくれるはずだ」と感じるのも無理のない考え方です。

    しかし実際には契約前に高額なお金を求める仕組みそのものが施主側の立場を弱くしてしまうケースがあります。

    問題は金額そのものではありません。

    それがどの段階で、どのような名目で求められているのかです。

    なぜこの仕組みが注意を要するのか。そして、どこを確認すればよいのか。

    本書では、その理由と実情を整理します。

    2.設計着手金100万円という営業手法に注意

    これはすべての会社に当てはまる話ではなく、設計着手金自体が悪いという意味でもありません。

    家づくりを考え始めたとき、多くの人は、設計着手金の有無や金額をひとつの判断材料として、建築会社を選ぼうとします。

    なぜ、その判断は危険なのか。そして、施主は何を基準に考え直すべきなのか。本書では、その現実を具体的にお伝えします。

    家づくりの初期段階で、一部の建築会社では、間取りやプラン作成を始める条件として、100万円前後の高額な設計着手金を求められることがあります。これは、すべての会社に当てはまる話ではなく、設計着手金そのものが悪いという意味ではありません。

    契約に至った場合、この費用は工事費の一部として精算されるため、問題が表面化しにくいのですが、注意すべきは契約に至らなかった場合です。

    プランが気に入らず他社に依頼することになった場合、支払った設計着手金が返金されず、結果的に施主側の損失となるケースがあります。

    この仕組みの問題点は、まだ十分な比較・検討段階にも入っていない時点で、施主自身が「後戻りしにくい状況」を先につくってしまう点にあります。

    金額が大きいほど「ここまで払ったのだから」という心理が働き、冷静な判断ができなくなり、本来見るべき建築会社の比較軸を見失いやすくなります。

    本書が注意したい判断ミス

    設計着手金の有無や金額だけで、建築会社の良し悪しを決めることはできません。

    比較検討の初期段階で、名目を問わず高額な金銭の支払いを求める会社のすべてが、問題のある会社というわけでもありません。

    ただし、土地が決まり、まだ建築会社を絞り切れていない段階で、高額な設計着手金を支払う判断は、施主にとってリスクが高いことは事実です。

    本書が推奨する考え方

    まず、比較検討の段階では、間取り図の作成にあたって、設計着手金を求めない会社、もしくは少額(10万円程度)で提案を行う会社に相談する方法が有効です。

    そこで間取りや仕様に対する考え方を整理し、自分たちの希望や方向性が固まった段階で、本命の建築会社と本格的な設計協議に入ることで、無駄な出費と判断ミスを防ぎやすくなります。

    ※ この記事での設計着手金は、家づくりへの「覚悟」を測る指標ではありません。

    お金を支払うタイミングと目的を誤らないことが、建築会社選びにおける重要な判断ポイントです。

    第3回 なぜ施主は「価格」と「契約」で必ずつまずくのか ― 最初の判断ミスが、取り返しのつかない差になる

    家づくりを考え始めたとき、多くの人は建築会社ごとの専門分野や得意・不得意を深く意識しないまま、会社選びを進めてしまいます。

    「どの会社でも大きな違いはないだろう」と感じるのも無理のない考え方です。

    しかし実際には、会社ごとの専門分野と施主の希望がずれたまま進むことが、価格や契約段階での混乱につながるケースがあります。問題は、価格そのものではありません。また、契約そのものでもありません。

    最初の会社選びの時点で、方向がずれていることです。なぜそのずれが大きな差になるのか。そして、どこを確認しておくべきなのか。本書では、その理由と背景を整理します。

    3.専門分野・不得意を見極めずに選ぶ危険

    住宅づくりに関わる建築会社には、それぞれ得意とする分野と、そうでない分野があります。

    これは、会社の規模や実績の大小とは別の話です。

    ハウスメーカー、ビルダー、工務店といった業態の違いだけでなく、和風・洋風・和洋折衷といった意匠の傾向、木造・鉄骨・RC造といった構造、さらに木造でも在来工法か壁式構造かなど、会社ごとに積み重ねてきた経験やノウハウには明確な違いがあります。

    「つくれる」と「得意」は別物

    施主が、建築会社の専門分野とは異なる住宅を希望した場合、多くの会社は次のように答えます。

    「当社でもご希望の住宅はつくれます。安心してお任せください。」

    しかし、この言葉の裏にある意味は、「専門ではないが、似たようなものなら対応できる」というケースが少なくありません。

    その結果、完成後に「イメージとまったく違った」「洋風を希望したが、外観だけで中身は量産住宅のようだった」「純和風を求めたが、木のぬくもりが感じられなかった」といった不満が生じることがあります。

    これは、施主の要望が曖昧だったからではありません。

    建築会社側が、専門外の分野を“対応可能”として引き受けたことが原因である場合が多いのです。

    医療に例えると見えやすい違和感

    たとえば、医師免許を持つ外科医であっても、内科の専門治療を万全に行えるとは限りません。

    過疎地などでやむを得ず簡易的な対応をすることはあっても、都市部であれば、専門医に診てもらいたいと考えるのが自然でしょう。住宅づくりも同じです。

    「資格がある」「法的に建てられる」ことと「その分野を得意としている」ことは、まったく別です。

    本書が問題にしたい現実

    住宅建築は営利事業です。そのため多くの建築会社は、自社の専門分野ではないと分かっていても、仕事を断らない傾向があります。

    だからこそ、「この会社は、私たちが望む家づくりを本当に得意としているのか」を見極める責任は、施主側にあります。

    本書が伝えたい判断ポイント

    建築会社選びにおいて、「できます」という言葉をそのまま信じてしまうこと、施工事例の数や傾向を確認しないことは、大きな判断ミスにつながります。

    得意分野を具体的に説明できない、過去の実例を明確に示せない、こうした会社には、慎重になる必要があります。

    建築業界ではあまり語られませんが、すべての建築会社が、すべての施主の住宅づくりに向いているわけではありません。この現実を知ったうえで質問し、見極めること。それが、後悔しにくい建築会社選びにつながります。

    次回予告