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  • 第5回 建築会社の知識・技術力の差は、想像以上に大きい ― なぜ「普通」に見えて、中身が違うのか

    第5回 建築会社の知識・技術力の差は、想像以上に大きい ― なぜ「普通」に見えて、中身が違うのか

    【第3群】なぜそんな家が建つのか(仕組み的原因)

    前回お伝えしたように「冬の室内が思っていたより寒い」「説明と体感がちがう」と感じる原因は、快適とされる計画数字そのものではありません。

    その土地の気候をどう考えていたか。その家族の暮らし方をどう考えたか。それを設計にどう生かしたか。

    この違いが、住み始めてからの大きな差になります。なぜその差が生まれるのか。

    本書では、続いて、建築会社ごとの知識と技術の違いを順に説明します。

    家づくりを考え始めたとき、多くの方は「建設業の許可を持っている」「有名な会社である」「担当者が親切だ」といった理由で、その会社を信頼しようとします。しかし、一歩現場の裏側に踏み込めば、そこには想像を絶する**「知識と技術の格差」**が存在しています。

    私は50年以上この業界に身を置き、数多くの欠陥住宅の調査や訴訟に関わってきましたが、そこで見た現実は残酷なものでした。

    「小学校レベル」から「一流大学レベル」までの差

    建築会社の知識・技術力の差は、例えるなら「小学校低学年レベル」から「一流大学卒業レベル」ほどの開きがあります。しかも恐ろしいことに、これらは「外見(会社の規模やモデルハウスの立派さ)」では全く見分けがつかないのです。

    住宅トラブルの現場で、私が弁護士と共に建築会社の経営者や担当者と向き合った際、彼らは一様にこう口にします。

    「手を抜いたつもりはありませんでした」

    「これで問題ない(正解だ)と思っていました」

    彼らは嘘をついているのではないかもしれません。本当に「知らなかった」のです。最新の建築法規も、雨漏りを防ぐための防水理論も、構造上のリスク予測も、それらを判断するための**「基本的な知識」が欠如したまま、家を建てているプロの建築会社が実在する**のがこの業界の恐ろしさです。

    「許可がある=安心」という思い込みを捨てる

    今の制度では、建設業の許可を取得するハードルは決して高くありません。しかし、この許可があることと、高品質な家を建てる技術があることは別問題です。

    中には、社内に建築の有資格者が一人もいないまま営業マン主導で工事の判断を下している会社や、技術的な是非をすべて「現場の職人任せ」にして、会社として責任ある管理ができていないケースも珍しくありません。

    さらに深刻なのは、重大な施工ミスを犯しても反省せず、改修費用が膨らむと会社を計画的に潰し、別の会社名で、場所を変え平然と営業を再開するような「逃げ道」が業界の構造として存在していることです。

    施主ができる唯一の防衛策

    「大手だから」「担当者がいい人だから」という主観的な判断だけで契約を結ぶことは、ギャンブルに近い行為です。

    建築会社の真の実力を見抜くには、彼らの**「経営と技術的な裏付け」**を問う必要があります。

    たとえば、

    「この会社は設立から何年で、年間何棟の新築住宅を建てていますか?」

    「住宅建築の工法を採用している技術的な根拠(エビデンス)は何ですか?」

    こうした問いに対し、数字や論理で明確な「筋道」を答えられるか。それが、あなたの大切な財産と命を守るための、最低限の選別基準になります。

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