カテゴリー: 資金・契約

  • 第15回  家づくりの追加・付帯工事と諸費用について

    第15回  家づくりの追加・付帯工事と諸費用について

    建築会社は、銀行借入れの斡旋や協力を行った場合、施主の借入上限額を把握していることがあります。

    仕様変更や外構工事(ガレージ、インターロッキング敷設、庭の植栽など)の追加工事は、建物本体工事の見積書と同時に、提示されるとは限りません。

    なぜでしょうか。

    それは、会社の売上方針として、担当者が「追加工事の受注」を求められているケースもあると言われています。そのため、借入資金に余裕があると判断された施主に対して、

    ・最初は50万円
    ・次に100万円
    ・さらに別の提案

    という形で追加工事が積み上がり、気付けば総額500万円を超えていた、という事例も決して珍しくありません。

    問題の本質は金額そのものよりも、

    「工事範囲と総額が見えにくい構造」にある

    という点です。

    本稿では、建物本体以外に必要となる追加工事と諸費用をおおまかに整理します。

    1.建物本体価格以外に必要な追加工事

    住宅の工事費は大きく

    • 建物本体工事
    • 付帯工事(別途工事)

    に分けられます。

    正確な資金計画を立てるためには、「本体以外」に何が必要になるのかを把握しておくことが不可欠です。

    以下に挙げる項目が、一般に“本体価格に含まれにくい工事・費用です。

    ・設計費用(50万円~450万円)

    依頼先により大きく異なります。

    • ハウスメーカー:総工事費の約2~5%
    • 工務店:実費~数%程度
    • 設計事務所(建築家):設計+工事監理で約10~15%

    ここで、ハウスメーカーでは「設計料無料」と表示されることがありますが、実務上は工事費の中に内包されています。

    ・長期優良住宅等の申請費用(20万円~100万円)

    • 長期優良住宅申請:約20~30万円
    • 住宅性能評価書:約20~30万円
    • ZEH申請:約10~30万円

    (行政手数料・評価機関費用・代行費用含む)

    ・地盤改良工事・杭工事(50万円~300万円)

    地盤調査の結果により必要となる追加工事です。

    • 地盤改良:地盤そのものを強化
    • 杭工事:支持層まで杭を到達させる工法

    ※軟弱地盤の場合、木造住宅でも数百万円規模の追加費用が発生する可能性があります。

    ・屋外給排水工事(総工事費の約10%)

    屋内配管は本体工事に含まれることが多いですが、

    • 水道メータからの引込
    • 公共桝への接続
    • 排水管布設

    などの屋外工事は別途扱いとなるケースが一般的です。

    例:総工事費2,000万円 → 約200万円となります。

    また、下水道未整備地域では浄化槽設置(100万~150万円)費用が追加されます。

    ・都市ガス引込(10万円~30万円)

    引込距離や道路状況により増減します。

    ・外構工事(100万円~300万円以上)

    門扉、フェンス、カーポート、アプローチ、庭、植栽など。

    生活利便性・防犯性・美観に関わる重要工事ですが、本体価格に含まれないことが多く後回しにされやすい項目です。

    ・エアコン・照明・カーテン等(100万円~300万円)

    本体価格に含まれないことが多い設備費。

    さらに、

    • 専用回路
    • 下地補強
    • 取付工事

    が必要となるため、建築会社への工事依頼が別途必要になる場合があります。

    2.土地・建物以外にかかる諸費用

    家づくりでは、土地・建物以外にも多くの諸費用が発生します。

    これらを事前に丁寧に説明してくれる会社は、信頼性が高いと言えるでしょう。

    主な諸費用は以下の通りです。

    ・土地仲介手数料 (土地価格×3%+6万円)+消費税

    ・登記費用 30万~50万円程度

    ・住宅ローン保証料 例:借入5,000万円×2.0%=100万円

    ・火災保険+地震保険 30万~50万円(5年一括)

    ・引越し費用 8万~15万円(通常期・4人家族目安)

    ・不動産取得税 軽減措置適用で建物約20万円、土地0~数万円

    総括(注意喚起の締め)

    家づくりで最も危険なのは、

    「総額が確定しないまま契約を進めてしまうこと」です。

    建物本体価格が2,000万円でも、

    • 付帯工事
    • 外構
    • 設備
    • 諸費用

    を合計すると、総事業費は2,500万~3,000万円に達することも珍しくありません。

    資金計画を立てる際は、

    1. 本体価格
    2. 付帯工事
    3. 外構
    4. 設備
    5. 諸費用

    をすべて合算した「総額」で判断することが不可欠です。家づくりは見えにくい費用との戦いでもあります。

    だからこそ、契約前に「総額はいくらになるのか」を明確にしておくことが、後悔しない家づくりの条件と言えるでしょう。

    ここまで、本編をお読み頂きありがとうございました。

    家づくり #注文住宅 #資金計画 #見積もり #マイホーム計画

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  • 第10回 その保証、会社が潰れたら「紙クズ」です !  ― 30年保証の前に、その会社の30年後を想像せよ

    第10回 その保証、会社が潰れたら「紙クズ」です !  ― 30年保証の前に、その会社の30年後を想像せよ

    「30年長期保証!」「充実のアフターサービス!」

    パンフレットに躍る魅力的な言葉。しかし、どんなに立派な長期の保証書も、その会社が存続していなければ、ただの紙クズにすぎません。

    住宅業界に押し寄せる「存続」のリスク

    今の時代、創業から10年、20年と長く続く会社は決して多くありません。ましてやこれから、日本の住宅市場は少子高齢化で縮小の一途をたどります。

    あなたが本当に困るのは、建てた直後ではなく、10年後、20年後に雨漏りや設備の故障が起きた時です。

    その時、電話をかけた先が「現在使われておりません」となっていたら、どうしますか?

    「長期保証の年数」より「会社の体力」を見よ

    10年間の構造保証は法律で義務付けられていますが、それ以外の独自保証は、あくまで、その建築会社の「経営状態」に依存します。

    その会社は、地域に根を張り、長く続く信頼を得ているのか?

    目先の利益のために、無理な安売りや拡大をしていないか?

    ちなみに、設立から10年では経営に不安が考えられます。

    【プロの眼力】

    保証は「内容」だけではなく「保証する相手」で選ぶものです。

    華やかな宣伝に目を奪われず、**「この会社は、10年後のメンテナンスを笑顔で受けてくれる体力を維持しているか?」**という経営の安定性を見極めてください。

    保証やアフターは、保証内容と会社の体力、この二つを、必ずセットで見る必要があります。

    長い保証年数が書かれていても、会社経営が続けられなければ意味はありません。約束を守り続けられる会社かどうか。そこまで考えてこそ、住み始めてから後悔しにくい家づくりにつながります。

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