カテゴリー: 設計・間取り

  • 第14回「作品づくりを考える一級建築士」に、木造住宅は任せられない ― 実力を見極める経験5年とは?

    第14回「作品づくりを考える一級建築士」に、木造住宅は任せられない ― 実力を見極める経験5年とは?

    建築士事務所協会で紹介を受けたとしても、最後に自分の目で「その人」を見極めるための、非常に重要なポイントをお伝えします。

    「作品作り」に酔う建築士を避けよ

    建築士の中には、施主の暮らしよりも「自分の作品としての見栄え」を優先してしまう輩がいます。

    特に注意が必要なのは、優れた才能で若くして一級建築士に合格した、向上心(という名の自己顕示欲)の強いタイプです。

    もし、目の前の建築士がデザインの素晴らしさばかりを語り、あなたの「使い勝手」や「暮らしやすさ」を二の次にしていると感じたら、警戒してください。家は建築士の作品ではなく、**あなたの「人生の舞台」**なのです。

    木造住宅は建築士の「実力」が試される

    実は、建築系の大学で学ぶことの主体は、鉄骨造(S造)やコンクリート造(RC造)鉄骨コンクリート造(SRC造)などの中高層建築が主のようです。また、最近では集成材という木材の強度と耐火性が改善されたため、大型建築では木造も勉強対象のようですが、木造住宅の木組みの奥深さは机上の勉強だけでは到底、現場では使い物になりません。

    現場の大工や職人たちは、その建築士に「実力」があるかどうかを一瞬で見抜きます。

    例えば、職人が意地悪をしているわけではなく、純粋に技術的な問いを投げかけることがあります。

    木造住宅の施工で「ここの納まりの詳細図を描いてくれ」「手直しの手順を具体的に示してくれ」

    これに対し、木造の経験が乏しい建築士は適切な回答ができず、「確認申請の設計図通りにしてください」「後日、相談してから出します」など、不適切な回答しか言えません。これでは現場は動きませんし、職人からの信頼も失墜します。

    木造住宅の経験5年未満「コックの皿洗い程度」任せて良いのか?

    木造住宅の現場で職人をリードし、間違いを正せるようになるには、最低でも**「5年以上の木造現場経験」**が必要です。

    コックの世界なら、ようやく皿洗いを卒業したレベルですが、それでも最低限の「ボロ」は出なくなります。

    建築士と面談する際は、遠慮せずにこう聞いてください。

    「これまで、木造住宅の現場を何件、何年経験されましたか?」

    もし、20代や30代前半で、経験が5年未満であれば、たとえ一級建築士であっても別のベテランと担当を代わってもらう勇気を持ってください。あなたの資産を守る「用心棒」に、修行中の身は必要ありません。

    施主ができる「新たな選別基準」について

    最近では、女性の建築士で木造の現場経験も豊富で、下請けや職人たちから信頼されているヒーロー的な方がいるようです。私は女性特有のコミュニュケーション能力について、これから家づくりを予定する施主には、良い建築士(2級でも可)さえ見つかれば、まさしく救世主だと考えます。

    堅物な男性には、中々出来ない施主奥様との上手な話し合い、建築会社の男性スタッフ・職人への厳しくも優しい指示の出し方、女性が元々持つ繊細な感性やデザイン性(おしゃれ感)などは尊敬に値します。

    もし、よろしければ女性や女性感覚を共有出来る建築士を探すのもひとつの手段かもしれません。

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  • 【第5群】もう一つの家づくりの選択肢

    【第5群】もう一つの家づくりの選択肢

    第12回 建築会社に「依頼」する前に知るべきこと ―  大きな金額の差額を生んだ「建築士」の有効利用

    「家づくりは、有名な会社に全部お任せするのが一番安心」……そう思っていませんか?

    しかし、その「安心」という感覚が、時として数百万円、数千万円という単位の施主損失を招いている現実があります。

    今回は、私が実際に出会った、ある92歳の女性施主様のエピソードを通して、建築業界の知られざる構造と、あなたの資産を守る「もう一つの選択肢」についてお話しします。

    92歳の願いを阻む「8800万円」の壁

    4年前、私の講習会に一人の高齢女性が娘さんと共に来られました。

    「死ぬまでに、暖かな家に住みたい」

    築60年の寒い自宅を建て替えたいという切実な願いでした。しかし、提示された相談票を見て私は愕然としました。

    あるハウスメーカーが、90坪の計画で**「8800万円」**もの見積りを出し、毎日のように自宅へ押しかけて仮契約を迫っていたのです。さらに解体費に550万円、まだ契約もしていない段階で設計料110万円を請求されるという信じがたい状況でした。

    2086万円の損失を食い止めた「建築士」の眼力

    私は、そのハウスメーカーとの交渉を白紙に戻し、**「設計施工分離発注方式」**へと舵を切り直しました。

    これは、設計と工事の監理を独立した「建築士事務所」が受け持ち、工事を「建築会社」が行うという、大きなビルや公共工事が行う一般手法で、設計と工事を明確に分ける方法です。

    結果、その後どうなったか。

    解体工事: 550万円 → 330万円・・・(220万円の削減)

    地盤調査: 22万円 → 11万円・・・(11万円の削減)

    新築工事費: 8800万円(外構別途90坪) → 6945万円(外構込92坪)・・・(1855万円の削減)

    今回は、外構工事まで含めても、ハウスメーカーの提示額より合計で2086万円もの差が出ました。

    もし、建築士が第三者の立場で「工事費の正当性」を査定していなければ、この差額は消えていたのです。

    ただ、今回のケースは92坪の2世帯住宅なので、一般の小さな4LDK住宅にすると3軒分になります。

    今回、実際の住宅の延べ面積は92坪で、2086万円の差ですから、仮に、これを3軒分として3で割ると住宅1軒分の差額は、約695万円になります。このように建築士が施主の見方となり、施主の代理で家づくりに取り組むと、優秀な施主にとって「鬼に金棒」となること間違いなしです。

    設計施工一括発注「自分を自分で採点する」仕組みの危うさ

    なぜ、これほどまでの差が出るのでしょうか。

    現在の主流である「設計施工一括発注(ハウスメーカーなど)方式」は、窓口が一つで便利に見えます。

    しかし、構造的には以下のようになっています。

    自分でテストを作り(設計)

    自分で回答を書き(工事)

    自分で採点をする(工事管理 完了検査)

    これでは、ミスがあっても、コストが不透明でも、施主には何も見えません。

    なぜか「プロ(会社)対 素人(施主)」という圧倒的に不利な構図だからです。

    建築士は、あなたの資産を守る「用心棒」

    一方、「設計施工分離発注方式」は、「プロ(建築士)対 プロ(建築会社)」という構図を作ります。

    建築士は、施主の代理人(エージェント)として、図面通りに工事が行われているか、手抜きはないか、見積は適正かを厳しくチェックします。

    「建築士に頼むと設計料がかかって高い」というのは誤解です。

    一括発注の工事費に含まれている不透明な経費を削ぎ落とし、適正な価格で発注させることで、建築士に設計料を払ってもなお、総額では安く、かつ高品質な家が建つケースが多々あるのです。

    結論:設計料は「無駄」ではなく「保険」である

    建築会社の社員は、最終的には「自社の利益」を守ります。しかし、分離発注の建築士は「施主の利益」を守ることが仕事です。

    設計から工事まで「すべてを任せたい」という方には向きませんが、「納得して、長く安心して住める家を建てたい」と願うなら、建築士を味方につけることは、何よりの防衛策になります。

    「設計施工分離発注方式」で3階建ての二世帯住宅を建てた
    92歳のおばあ様のその後

    私の人生で、残る寿命の短い施主に出会って、私は感動し、仮の母だと思い、誠心誠意、家づくりのお手伝いをさせていただきました。

    あの92歳のおばあ様は、完成した家の玄関まで、車椅子ではなく自らの足で歩んでいかれました。あの満面の笑みは、正しい「選別」が生んだ、私への最高のご褒美だったと確信をしています。

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