【第2群】住んでから気づく「違和感」の正体
なぜ「性能が良いはずの家」で後悔が生まれるのか
前回までは、家を建てる前の「価格」や「契約」に潜む落とし穴についてお伝えしてきました。では、そこでの判断を誤ったまま家が完成すると、どうなるのでしょうか。
今回からは、実際に暮らし始めてから多くの施主が直面する「住み心地の違和感」について、具体例を挙げて解説します。まずは、最も相談が多い**「寒さ・暑さ」**についてです。
家づくりを考え始めたとき、多くの方は「冬でも暖かいですか?」と営業担当に尋ねます。担当者は自信を持って「最新の断熱性能ですから、暖かいですよ」と答えるでしょう。
しかし、いざ入居してみると「思っていたより寒い……」と落胆するケースが後を絶ちません。これは必ずしも欠陥工事や性能不足が原因ではありません。多くの場合、「地域性」と「生活習慣」に対する、設計段階での想像力不足から生じています。
北海道の「25℃」と、快適設計の「20℃」のズレ
私は長年、北海道などの寒冷地での家づくりを見てきました。そこで暮らす人々には特有の習慣があります。冬の外気温がマイナス10℃を下回る中、家の中を25℃前後まで上げ、Tシャツ1枚でアイスを食べるような「真冬の暖かさ」を当たり前として生きてきた方々です。
一方、現代の最新住宅が掲げる「快適温度」は、理論上18℃〜22℃程度です。高気密・高断熱住宅ならこの温度で十分快適だと計算されますが、長年25℃の環境に慣れた体にとっては、この「理論上の適温」は**「ただの寒さ」**でしかありません。
設計者は「あなたの冬の暮らし」を知っているのか
建築会社はコストや光熱費のバランスを考え、可もなく不可もない暖房・換気計画を提案します。特にハウスメーカーなどの場合、設計責任者が雪国ではない暖かな地域の出身であることも多いためか、厳しい寒さから帰宅した瞬間に「体が芯から温まる温度」への切実な欲求が、設計条件として抜け落ちていることがあるのです。
これは「欠陥」ではありませんが、施主にとっては「取り返しのつかない後悔」になります。
失敗を防ぐための問いかけ
大切なのは、性能の数字(UA値など)だけを見て安心しないことです。
私が施主の皆さんに推奨しているのは、建築会社にこう問うことです。
「私たちは冬、家の中でどんな格好をして、どんな風に過ごしたいか。その暮らしをこの設計で本当に実現できますか?」
「暖かい家ですよ」という抽象的な答えを鵜呑みにしてはいけません。あなたの生活習慣を「暖房・換気設計の条件」として具体化できる技術者かどうかを見極めること。それが、住んでからの違和感を防ぐ唯一の道です。

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