建築会社選びで絶対にやってはいけないこと― 50年の現場経験から見えた、たった一つの本質

家づくりを考え始めると、情報が多すぎて何を信じればいいのか分からなくなります。

展示場を回り、話を聞くほど、不安だけが増えていませんか。

この文章は、建築会社を「どう選ぶか」ではなく「どう考えるか」を整理するためのものです。

【第1群】判断軸を間違える入口(価格・契約)

第1回 坪単価は「比較の道具」であって「答え」ではない

家づくりを考え始めたとき、多くの人は坪単価を基準に、建築会社を選ぼうとします。

それは一見、合理的で失敗のない判断のように思えるかもしれません。しかし、実際の住宅づくりの現場では、その判断が後悔の入口になっているケースも少なくありません。

私は大工として現場に立ち、一級建築士として35年以上、住宅づくりに携わってきました。その中で、施主が「その時点では正しいと思っていた判断」によって、完成後に苦しむ姿を何度も見てきました。

なぜ、その判断は危険なのか。そして、施主は何を基準に考え直すべきなのか。本稿では、その現実を具体的にお伝えします。

1.坪単価は「比較の道具」であって「答え」ではない

建築会社選びで「坪単価」で比較してはいけない理由があります。

住宅の建築費は、今でも「坪単価 × 延床面積(坪)」でおおまかな総工事費を考える慣習が残っているからです。

この「坪(つぼ)」とは日本の伝統的な面積単位で、1坪は約3.3㎡(畳2枚分)です。

坪単価は、一見すると「会社ごとの価格差が分かりやすい指標」のように見えます。

しかし、本書では建築会社選びの判断材料として、同一条件ではない坪単価比較は不適切だと位置づけます。

なぜ坪単価は判断材料にならないのか

理由は大きく3つあります。

① 含まれている工事範囲と仕様が会社ごとに違う

坪単価は、多くの場合「建物本体価格のみ」を指します。

外構工事、地盤改良、給排水や電気の引き込み工事、各種申請費用などが、含まれているかどうかは、会社ごとに条件が異なります。

② 前提条件がそろわない

同じ延床面積でも、間取り、構造、断熱・耐震性能、標準仕様などが違えば、工事費は大きく変わります。

同条件でない以上、坪単価を並べても比較にはなりません。

③ 性能とコストの関係が見えなくなる

坪単価だけを見ると「安い=良い会社」「高い=ぼったくり」という誤った判断につながりやすくなります。

本来確認すべき、なぜその金額になるのかという比較条件が抜け落ちています。

本書が推奨する考え方

建築会社を比較する際は、土地が決まり、間取りと仕様の方向性がある程度固まった段階で、出来る限り同条件で各社の標準的な工事内容を前提に建物本体のみの概算見積を出してもらう

この状態で初めて「その会社の考える標準的な家づくりの価格感」が見えてきます。

そのうえで算出される坪単価は、優劣を決める数字ではなく、その会社の考え方を知るための参考値として扱うべきものです。

建築会社に確認すべき質問

「この金額には、どこまでの工事内容が含まれていますか。

また、それを標準仕様としている理由を教えてください。」この質問に対し数字ではなく価格判断の筋道を説明できるかどうか。

それが比較すべきポイントです。

※ このコラムは「住宅価格の知識」を教えるためのものではありません。誤った判断軸を手放すための視点として位置づけています。

第2回 高額なお金を最初に取る会社は、なぜ要注意なのか(設計着手金・内金・預かり金という営業手法)

家づくりを考え始めたとき、多くの人は、設計着手金の有無や金額をひとつの判断材料として、建築会社を選ぼうとします。

それは一見、合理的で失敗のない判断のように思えるかもしれません。しかし、実際の住宅づくりの現場では、その判断が後悔の入口になっているケースも少なくありません。

私は大工として現場に立ち、一級建築士として35年以上、住宅づくりに携わってきました。その中で、施主が「その時点では正しいと思っていた判断」によって、完成後に苦しむ姿を何度も見てきました。

なぜ、その判断は危険なのか。そして、施主は何を基準に考え直すべきなのか。本稿では、その現実を具体的にお伝えします。

2.設計着手金100万円という営業手法に注意

これはすべての会社に当てはまる話ではなく、設計着手金自体が悪いという意味でもありません。

家づくりを考え始めたとき、多くの人は、設計着手金の有無や金額をひとつの判断材料として、建築会社を選ぼうとします。

それは一見、合理的で失敗のない判断のように思えるかもしれません。しかし、実際の住宅づくりの現場では、その判断が後悔の入口になっているケースも少なくありません。

私は大工として現場に立ち、一級建築士として35年以上、住宅づくりに携わってきました。その中で、施主が「その時点では正しいと思っていた判断」によって、完成後に苦しむ姿を何度も見てきました。

なぜ、その判断は危険なのか。そして、施主は何を基準に考え直すべきなのか。本稿では、その現実を具体的にお伝えします。

家づくりの初期段階で、一部の建築会社では、間取りやプラン作成を始める条件として、100万円前後の高額な設計着手金を求められることがあります。これは、すべての会社に当てはまる話ではなく、設計着手金そのものが悪いという意味ではありません。

契約に至った場合、この費用は工事費の一部として精算されるため、問題が表面化しにくいのですが、注意すべきは契約に至らなかった場合です。

プランが気に入らず他社に依頼することになった場合、支払った設計着手金が返金されず、結果的に施主側の損失となるケースがあります。

この仕組みの問題点は、まだ十分な比較・検討段階にも入っていない時点で、施主自身が「後戻りしにくい状況」を先につくってしまう点にあります。

金額が大きいほど「ここまで払ったのだから」という心理が働き、冷静な判断ができなくなり、本来見るべき建築会社の比較軸を見失いやすくなります。

本書が注意したい判断ミス

設計着手金の有無や金額だけで、建築会社の良し悪しを決めることはできません。

比較検討の初期段階で、名目を問わず高額な金銭の支払いを求める会社のすべてが、問題のある会社というわけでもありません。

ただし、土地が決まり、まだ建築会社を絞り切れていない段階で、高額な設計着手金を支払う判断は、施主にとってリスクが高いことは事実です。

本書が推奨する考え方

比較検討の段階では、間取り図の作成にあたって、設計着手金を求めない会社、もしくは少額(10万円程度)で提案を行う会社に相談する方法が有効です。

そこで間取りや仕様に対する考え方を整理し、自分たちの希望や方向性が固まった段階で、本命の建築会社と本格的な設計協議に入ることで、無駄な出費と判断ミスを防ぎやすくなります。

※ このコラムでの設計着手金は、家づくりへの「覚悟」を測る指標ではありません。

支払うタイミングと目的を誤らないことが、建築会社選びにおける重要な判断ポイントです。

第3回 なぜ施主は「価格」と「契約」で必ずつまずくのか ― 最初の判断ミスが、取り返しのつかない差になる

家づくりを考え始めたとき、多くの人は建築会社ごとの「専門分野」や「得意・不得意」を深く意識しないまま、会社選びを進めてしまいます。

それは一見、合理的で失敗のない判断のように思えるかもしれません。

しかし、実際の住宅づくりの現場では、その判断が後悔の入口になっているケースも少なくありません。

私は大工として現場に立ち、一級建築士として35年以上、住宅づくりに携わってきました。

その中で、施主が「その時点では正しいと思っていた判断」によって、完成後に苦しむ姿を何度も見てきました。

なぜ、その判断は危険なのか。そして、施主は何を基準に考え直すべきなのか。本稿では、その現実を具体的にお伝えします。

3.専門分野・不得意を見極めずに選ぶ危険

住宅づくりに関わる建築会社には、それぞれ得意とする分野と、そうでない分野があります。

これは、会社の規模や実績の大小とは別の話です。

ハウスメーカー、ビルダー、工務店といった業態の違いだけでなく、和風・洋風・和洋折衷といった意匠の傾向、木造・鉄骨・RC造といった構造、さらに木造でも在来工法か壁式構造かなど、会社ごとに積み重ねてきた経験やノウハウには明確な違いがあります。

「つくれる」と「得意」は別物

施主が、建築会社の専門分野とは異なる住宅を希望した場合、多くの会社は次のように答えます。

「当社でもご希望の住宅はつくれます。安心してお任せください。」

しかし、この言葉の裏にある意味は、「専門ではないが、似たようなものなら対応できる」というケースが少なくありません。

その結果、完成後に「イメージとまったく違った」「洋風を希望したが、外観だけで中身は量産住宅のようだった」「純和風を求めたが、木のぬくもりが感じられなかった」といった不満が生じることがあります。

これは、施主の要望が曖昧だったからではありません。

建築会社側が、専門外の分野を“対応可能”として引き受けたことが原因である場合が多いのです。

医療に例えると見えやすい違和感

たとえば、医師免許を持つ外科医であっても、内科の専門治療を万全に行えるとは限りません。

過疎地などでやむを得ず簡易的な対応をすることはあっても、都市部であれば、専門医に診てもらいたいと考えるのが自然でしょう。住宅づくりも同じです。

「資格がある」「法的に建てられる」ことと「その分野を得意としている」ことは、まったく別です。

本稿が問題にしたい現実

住宅建築は営利事業です。そのため多くの建築会社は、自社の専門分野ではないと分かっていても、仕事を断らない傾向があります。

だからこそ、「この会社は、私たちが望む家づくりを本当に得意としているのか」を見極める責任は、施主側にあります。

本稿が伝えたい判断ポイント

建築会社選びにおいて、「できます」という言葉をそのまま信じてしまうこと、施工事例の数や傾向を確認しないことは、大きな判断ミスにつながります。

得意分野を具体的に説明できない、過去の実例を明確に示せない、こうした会社には、慎重になる必要があります。

建築業界ではあまり語られませんが、すべての建築会社が、すべての施主の住宅づくりに向いているわけではありません。この現実を知ったうえで質問し、見極めること。それが、後悔しにくい建築会社選びにつながります。

次回予告

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